14歳くらいのことでした。
当時私は、中学生で、吹奏楽部(ブラスバンド部)に
所属していました。
楽器はトランペット。
管楽器アンサンブルコンクールを目指して、
メンバー4人と練習をしていました。
(アンサンブルは、少人数編成のことです。)
トランペットは、指揮者のいない少人数編成では、
楽器を上下に振りながら、指揮者の役割を兼ねます。
・・・今でも分かりません。何故だったか分かりません。
先生に指摘された部分を、その日だけは、とても気にな
っていて、一生懸命に練習したくなりました。
私は、その16小節ほどの短いフレーズを練習するため、
トランペットを上下に振りながら、演奏開始の合図を
送りました。
合わせて5人の小さな楽団は、いっせいに楽器をかき鳴
らし、16小節を演奏し始めました。
やりおえると、私は何も言わず、もう一度トランペット
を縦に振り、また16小節がはじまります。
そのようにして、何度も、何度も・・・。
いい加減、メンバー達もウンザリしているのは、分かっ
ていました。
でも何も言いませんでした。
私の合図に合わせて、練習してくれました。
奇跡的な時間でした。
どのくらいやったでしょうか・・・。
今となっては、1時間だったのか2時間だったのか、
はっきりと覚えていません。
ただ、それまでの練習とは違い、短い16小節に絞って、
集中的に練習しました。
時が過ぎるのも忘れるくらい・・・。
体力の限界かって私が感じ始めた頃、見計らったように
同級生の女の子のメンバーが、
「ねえ、いつまでやるの?」
それで、目が覚めました。
そうです。まるで、白昼夢を見ていたかのような
気分でした。
その日の練習は、それで終わり。
驚きの事件は、翌日でした。
昨日のことはすっかり忘れて、またいつものように、
適当に、まずはウォーミングアップを兼ねた通し練習か
らやろう、ってことになり、私はまた、トランペットを
上下に振り、練習を始めました。
そうしたら、・・・オッタまげましたっ!
最初の一音から、曲の最後までにわたって、
まるで昨日までの5人じゃありませんでした。
別人のグループに変わちゃったかも・・・っていう
くらい、息があった演奏に生まれ変わり、軽い気持ちの
ウォーミングアップのつもりが、昨日までと比べて、
数段レベルアップした自分たちがいました。
昨日、たまたま、たった16小節を、徹底的に練習
しただけ。
それだけで、まるで世界が違ってしまいました。
メンバー全員が、同じように感じたようです。
ことばにできない感覚で、みな目を合わせ、微笑みあい
ました。これまでにない達成感を味わっていました。
今日仕事中、突然この体験を思い出しました。
忘れていましたが、でもこの体験は、その後の私の
日本舞踊のお稽古に大きな影響を与えていたことに、
気がつきました。
不得意でないところなら、どんな箇所でもいい。
そこを徹底的にお稽古してみるだけで、その一曲の
すべてが、レベルアップできる。
あれもこれも、やらなきゃいけない・・・、って
パニックになったり落ち込んだりするよりも前に、
一箇所だけ、徹底的にお稽古する。
そうすると、一点突破が図れます。
一箇所に自信が出来ただけで、全体が知らぬ間に
レベルアップできるのです。
特に意識をしていなくても、私はそのようにして、
精進を重ねてきました。
そんな自分に気がつきました。
この【一点突破】っていう考え方って、色々応用が
効きそうです。
早速、明日から、最近仕事(営業、サラリーマン)で、
あれもこれもと手を広げすぎて、あっぷあっぷ気味にな
っている自分に、応用してみようっと♪