人間は多面体なのだと思います。
良い面・悪い面というだけじゃなく、
□あたたかい・冷たい
□明るい・暗い
□外見どおり・外見と似合わない
□社会人としての性格・家庭人としての性格
・・・などなど。
いろいろな側面を持っているものだと思います。
日本舞踊家にとって、そのすべてが表現の対象になりま
す。
もっと正確に言えば、日常に発生しているたくさんの感
情を再現することで、表現手段を手に入れている、と言
えるのかもしれません。
私が日本舞踊をする時、その舞踊のテーマによって、い
ろいろな自分を思い出しています。
□いじめられっ子だった頃の自分
□自律神経失調症になりかけて、苦しかった頃の自分
□モテなくて悔しくて、「今に見てろ!」なんて、ツッ
パッテた頃の自分
□恋愛に夢中だった頃の自分
□自分の力不足を実感して、猛烈に悔しい思いをしてい
た頃の自分
・・・などなど。
幼き頃から今まで、味わってきたたくさんの感情を、味
わいなおします。
そうすると不思議と、その舞踊の中で表現されている感
情と、とてもシンクロする自分を、新たに発見したりす
ることがあります。
そのきっかけを掴んだら、舞踊の中で、掴み取ったシン
クロする自分の感情の再現を試み、何度でも再現できる
ように精進します。
日本舞踊って、きらびやかで自分とは全然関係ないこと
を表現するかのように思われることがあるかもしれませ
ん。
でも本当は、それぞれの人の過去から現在までにわたる
感情との関わりによって、その輝きを増すものだと思う
のです。
人間は多面体なのですから、すべての人が持っているた
くさんの面を、思いっきり表現できる場としての日本舞
踊を、人生の糧とするのも、いいものではないでしょう
か。